経営者メッセージ
■「時代の潮流に適応した変革の推進」
当社は、創業以来、事業者および消費者のお客様に対して、デジタルを通じて商品・サービスを提供してまいりました。コロナ禍を契機とした社会・経済構造の大きな変化に対応するため、2022年・2023年より、社内の業務プロセス改革やデジタル化を本格的に推進してきました。
加えて、物価高騰・賃金引上げといった経営環境の変動、将来の労働人口の急速な減少、そして生成AIをはじめとした急速な技術革新という新たな潮流は、企業が従来のビジネスモデルに留まることが困難な時代を象徴しています。当社はこれらを強い危機感をもって受け止めつつ、同時に「新たな価値創出に挑戦する絶好の機会」と認識し、変革を一層加速していく決意です。
私たちは、経営資源ともいわれるビッグデータやAIなどの先端デジタル技術を積極的に活用し、サービス開発・流通・販売・顧客コミュニケーションまでのあらゆるプロセスをデータドリブンに再構築するDXに取り組んでまいります。
データ基盤の整備やAI分析を活用した経営判断の高度化、業務プロセスの自動化、顧客データに基づく体験価値向上など、具体的なデータ活用施策を全社で推進します。
DXは単なるIT化ではなく、企業文化そのものの変革です。社員一人ひとりがデジタルスキル・AI活用能力を身につけ、データに基づく意思決定と業務改善を実行できる組織風土をつくることで、既存のビジネスモデルを変革し、新しい価値の創造につなげていきます。
こうした取り組みによって、お客様から選ばれ続ける競争力の高い企業グループとして成長し、社会の変化に適応しながら持続的な企業価値向上を実現してまいります。
OKKO株式会社
代表取締役社長 池 喬
経営ビジョンとDXの方向
■経営ビジョン
当社の経営ビジョンは、「DX・AIを通じて、世界を便利にする」ことです。
DXを企業戦略の中心に位置づけ、経営データ・顧客データ・業務データを活用したデータドリブン経営を推進することにより、企業価値の持続的な向上を実現します。また、AIをはじめとした先端技術の積極的活用により、全社の意思決定の質・速度を向上させ、既存事業の変革と新規事業創造を加速します。
■DX・ビジネスモデル変革の方向
経営ビジョンを実現するために、以下の方向性で取り組みます。
・経営・事業の全プロセスをDXで変革する360度全方位体制へ
経営OSの構築と経営数値の見える化に加え、売上データ、原価データ、在庫データ、顧客行動データ、業務ログ等を統合したデータ基盤の整備 を進め、データ分析や予測に基づく経営判断の高度化を実現します。また、既存事業の全プロセスにおける自動化・最適化を推進するとともに、蓄積された業務データや顧客データを活用し、新規事業創造の源泉として活かします。
・DXの中でも特にAIをコア技術としたビジネスモデル変革
AIをコア技術として業務オペレーション・マーケティング・顧客体験の変革を推進します。AI活用を前提としたデータ基盤を整備し、需要予測、顧客分析、原価最適化、自動化アルゴリズムの構築など、データを活用した高度なサービス・ビジネスモデルの実現 を図ります。
・DX・AI経験者・技術者の育成(人材変革)
DX推進に必要なデジタルスキル・AIスキルを習得した人材の育成・採用を進め、社内外の実プロジェクトで得られるデータを活用した実践型の教育・評価を行います。データ活用能力やAI活用スキルを評価指標として組み込み、組織全体のデジタルリテラシー向上と組織変革を同時に推進します。
DX戦略の骨子
■戦略(1)経営DXによる経営判断の迅速化・実行確度の向上
AIを活用した先端技術と経営数値(売上データ、原価データ、在庫データ、業務ログ、労務データ等)を経営OSに一元化し、データ分析・予測モデルを活用した意思決定基盤 を構築することで、経営判断の迅速化・柔軟な判断を可能とします。具体的には、以下の施策により、データを単なる見える化にとどめず、分析・予測・最適化まで活用することで、戦略実行の確度を高めます。
・経理・販売・仕入・勤怠などのデータを統合した“リアルタイムダッシュボード”の構築
・AIによる売上予測、需要予測、原価構造分析
・経営会議でのデータに基づくPDCA運用
・収益性の高い事業・施策の自動抽出機能の活用
また、紙管理を極力排除し、デジタルデータ化・業務ツールの統合により、業務ログを取得しやすい環境を構築し、蓄積したデータを経営効率改善の材料として活用します。
■戦略(2)既存事業のDX変革の推進
顧客データ(購入履歴、来店データ、行動データ、問い合わせ履歴など)および業務プロセスデータ(接客ログ、在庫データ、スタッフ配置データ等)を活用し、AIによる分析・予測・自動化を中心とした全業務プロセスの最適化 を進めます。具体的には、データに基づいた以下のデータ活用施策により、マーケティング・営業・接客・決済の全てにおいて360度全方位型のDXを実現し、業務効率化・省力化・顧客体験向上 を同時に達成します。
・顧客行動データを用いた購買動向分析
・AIクラスタリングによる顧客セグメントの自動生成
・セグメント別の最適な商品提案・販促施策の自動化
・問い合わせデータを活用したFAQ精度向上、接客プロセス改善
・売上予測に基づく在庫配置・仕入の最適化
・決済データと購買行動の連動による購買体験の改善
■戦略(3)デジタル技術を活用した新規事業の創造
自社のDX推進で蓄積した データ(業務効率改善データ、自動化の効果データ、AIモデル稼働データ等)やノウハウ を活用し、DXコンサルティング・SaaS・BPOなどの新規事業を創出します。具体的には、以下の施策を実施することで、自社のDX成果を再利用し、外部企業のDX支援・付加価値サービス創造につなげ、データドリブン型の新規事業創造 を推進します。
・自社で実施した業務改善結果(削減工数、改善率など)をデータベース化し活用
・需要予測モデル、業務診断アルゴリズムなどのAIモデルを外部提供
・匿名加工した事例データを活用したDX診断・提案サービスの提供
・データ連携を前提とした新規サービスの立ち上げ(経営OS・CloudDX連携など)
■戦略(4)自社及び他社案件によるDX・AI人材への変革
DX・AI人材育成において、単なる知識習得ではなく、具体的なデータ分析・AI運用プロジェクトを通じた実践型育成 を重視します。
具体的には、以下の内容を実施することで、データに基づき継続的にスキルを評価・改善する仕組みを構築し、社内DX人材の底上げと高度化 を実現します。
・社内の業務ログ・AI利用ログを活用したスキルレベル可視化
・社内外プロジェクトにおけるデータ分析・自動化業務の実務経験蓄積
・AIツール利用データをもとに、個人ごとの育成計画を最適化
・外部企業案件で得たデータ活用ノウハウを社内にフィードバック
・DX推進体制のレビュー結果を基にした人材配置最適化
推進体制と人材育成
■DX推進体制
・全社横断のDX推進タスクフォースを設置し、経営直轄で施策を統括
・各事業部にDX推進担当を設置し、ビジネスモデル変革と現場実装を加速
・DX推進委員(社長・各担当者等)で四半期ごとに進捗レビューの実施
■DX人材育成・確保
・社内勉強会に加え、DX・AI関連の資格制度の整備・重点化
・社内外プロジェクトを通じたDX・AI業務における積極的なOJTの実施
・積極的なAIツール活用環境の整備による育成
・外部パートナーの獲得に加え、外部人材の育成・採用を推進
ITシステム環境整備
■データ基盤の構築・連携強化
AI活用を前提とした社内外のデータ基盤の整備・統合、他社システムとの連携によるデータ活用の幅を広げる。
■業務システムの構築・連携強化
経営OS(開発予定)・基幹システム(当社独自システム「CloudDX」)、360度全方位型の業務プロセスシステムを構築すると共に、非コア業務における他社システムとの連携を実施。
■セキュリティ対策の構築・強化
データ情報管理などのセキュリティ関連の社内規則の整備と共に、セキュリティ認証の取得を対応。また、AI活用ガイドラインの策定による安全なAI活用環境の整備・セキュリティ対策を実施する
KPI(主要目標)
DXの推進指標としてKPIを設定、PDCAを管理し、DXを推進していきます。
■DX推進による粗利額増加額
DXによるビジネスモデル変革と、売上データ・原価データ・在庫データ等の分析に基づく原価最適化 を実施し、既存サービス・新規事業の売上拡大と原価逓減により粗利額の増加を目指します。
■労働生産性(付加価値額÷労働者数)より労働分配率(人件費÷粗利総額)を重視
DXによる業務自動化・省力化により生産効率を高め、業務ログなどのデータを活用して工数削減効果を可視化 し、従業員への利益還元(賃金改善)につながる労働分配率を重視します。
■組織・個人におけるAI活用レベル
先端技術の拡大およびAIを業務コアとして活用するため、AIツール利用ログ・学習履歴・業務プロセスへのAI適用状況等のデータ をもとに組織的なAI活用レベルを定義し、定期的にレビューします。
その他、各業務に応じて、経営OSや各種システムに蓄積される業務ログ・プロセスデータを分析し、業務自動化率(対象業務数・自動化完了率)、DX導入前後での工数削減時間、およびデータ入力・処理ミス削減率などの指標を用いて業務プロセスの改善度合いを継続的に評価します。これにより、業務全体の効率化・省力化を定量的に把握し、改善サイクルを確立します。
さらに、顧客データ(購入履歴、行動データ、問い合わせデータ等)を活用し、顧客リピート率、顧客セグメント別のコンバージョン率(CVR)、AI活用による問い合わせ削減率といった成果指標を定期的に計測・改善することで、顧客体験の向上およびサービス価値の最大化を図ります。
これらのデータ活用型KPIを組み合わせて管理することにより、当社のDX施策が経営成果・業務改善・顧客価値創出のいずれにおいても確実な効果を発揮するよう、PDCAサイクルを継続的に運用してまいります。